1.回想法活動のご紹介(令和4年度)
(1)昭和の散歩道
「昭和の散歩道」は、2019 年7月から始まりました。戦後以降の「昭和時代」がテーマです。戦後の昭和時代から年ごとにスポットを当て、当時の出来事や流行を振り返ります。「楽しく回想すること!」をモットーに参加者がワクワク、ドキドキ、ウキウキする内容が取り上げられます。
担当リーダー2人の漫才のような掛け合いと女性リーダーが手書きする流行の歌や映画スター、ファッション、遊び等のイラストが見どころです。最後にはその当時に流行した歌をみんなで歌い、リーダー手作りの脳トレ問題にも取り組みます。
自由に発言ができることも楽しみの1つです。話があちこち飛んでも大丈夫、会話のキャッチボールを楽しんでいるうちに60分間があっという間に過ぎ去ります。
令和4年度では昭和41年までさかのぼりました。同時代を生き抜いてきた皆さんと「昭和レトロ道」をゆったり、ゆっくり、ゆるやかに辿っています。終点にはいつ到達できるでしょうか。
(2)「回想法ってなんだろう」
季節のテーマに合わせたグループ回想法を行う講座です。当館にある「回想法センター」という昭和時代を思い出すような造りの部屋を活用する目的として始まりました。はじめに回想法の歴史や効果などを説明し、写真や絵などを活用して10名程度で回想法を行います。
「回想法」という言葉を初めて聞いた人から回想法の経験者まで様々な参加者がおり、話しやすい雰囲気を作り出すまでがとても大変です。地元の話題など盛り上がる話題を見つけることはもちろん、全員の参加者が楽しく話すことができるように配慮し行っています。
(3)外部派遣
福祉会館事業以外の外部への派遣では、地域の高齢者サロンや認知症カフェ、はつらつ長寿推進事業で活動をしています。リーダーからの活動報告の抜粋をご紹介します。
① 6月22 日 はつらつ長寿推進事業
「子供の頃の夏の思い出」をテーマに、蛍や蚊帳、花火などの手書きのイラストを用いて回想を行った。同じ高齢者といっても「戦争を記憶しているか」どうかで思い出は大きく違っており配慮が必要な場面がある。今回は女性ばかりのグループだったのもあり、思い出話が尽きない楽しい時間になった。
② 7月6日 和気あいあい
回想法の前に嚥下体操を行ってから、「夏の思い出」というテーマで回想法を行った。はじめはなかなか話し辛そうにされている方もみえたが、「すいか」や「蛍」などの言葉をきっかけに次々と話題が広がって行った。戦争のことなどを話される方もみえたので配慮が必要な場面もあり苦労した。
③ 10月17日 まちかど保健室
回想法の歴史や方法を説明し、想起トレーニングとして10年前、20年前から1番古い記憶まで遡った後、「運動会」「遠足」のテーマで回想法を行った。2グループに分かれての回想法であったため時間が短く、全員にゆっくりお話を聞くことが難しかったが、参加者の中で同郷の方が何人かおり、共通の話題で盛り上がっていた。
④ 11月7日 自由ヶ丘民生
回想法の歴史や内容、効果などを説明した後、「旅の思い出」というテーマで回想法を行った。温泉や紅葉などの手描きの絵を使うなどして回想がはずみ楽しい時間を過ごすことができた。参加者の中に「白内障で絵が見えない」と言われた方がおり、絵の見せ方に工夫が必要であった。
①~④のように、回想法は季節や地域、年齢、性別、お伺いするリーダーによってさまざまです。配慮する点や導入での雰囲気づくり、独自のアイテムの活用など活動を続けていくにあたってリーダーは日々研鑽を重ねています。
2.活動が役に立っていること
(1)リーダー側
- 他人に共感できる力が備わる。
- 事前準備から終了後の報告書の作成など、1つの活動に対し脳をとても使っているなと実感する。誰かのための活動だけではなく自身の脳の活性化にもつながっている。
- 回想法に関する知識を得ることができた。
- 回想法の取り組みを通して同じ志を持つ人と出会え、自分自身も楽しい時間を過ごすことができる。
- 回想法の派遣依頼を受けることで様々な制度やサービス、活動等を知ることができる。
(2)参加者側
- グループ回想法を行うことで、お互いのこと知るきっかけになる。
- 終了後にお話を聞くと「面白かった」「楽しかった」などの声を聞くことができ、回想法を知るきっかけや回想法を引き続き取り組んでいこうと思える機会を作っていると感じる。
3.工夫していること
- 季節や参加者の年齢、男女比、回想法の経験があるかなどに配慮し回想法のテーマややり方を決定する。
- 回想法を分かりやすくする、話しやすい雰囲気を作るためにテーマに沿ったイラストを1枚1枚手描きし、用意している。
- 「回想法はとっつきにくいもの」と思われないように、また「回想法は行う価値があるもの」と思っていただけるように、簡単な言葉を使い、楽しく行ってもらえるように心掛ける。
- 身振り手振りを交えてお話しする。
- 参加者の皆様の緊張をほぐすことができるような話し方を意識している。
- お話しだけでなく、イラストや写真、当時使用されていたものなどを使用する。
4.課題となっていること
- お題から話題がそれてしまった時や一人の方が長く話されたときの対処方法。
- 単発の講座の場合、参加者個々のこれまで生きてきた歴史が分からないため、出たとこ勝負になってしまい、あまり踏み込んだ話しができないことが多い。派遣時間もほとんどが1時間程度で短いと感じる。
- 回想法の活動だけに限らず、認知症予防リーダーの派遣活動の場が少ないことや仕事をしていると都合がつかないこともあるので、スキルアップが難しい。
5.今後の取り組み
- 新しい回想法のかたち(人前で話すことが苦手な方のために思い出を書いてもらい、音読や代読する回想法など)にも取り組んでいきたい。
- 思い出す、書く、読むが脳の活性化につながるという記事を見たので、それを活かす回想法を行う。
- 認知症予防教室などで経験を重ねていき、コミュニケーション能力を磨いて、地域の高齢者福祉に貢献できるような回想法をしていきたい。
- 様々な認知症予防リーダーの回想法の活動に触れ、自分にあったやり方を探っていく。
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